山口蓬春記念館開館15周年記念初冬特別展
葉山に開花した山口蓬春の芸術 ―友情に結ばれた画家と建築家―
開催期間:2006年10月21日~12月24日
この展覧会は終了しました。このたび、山口蓬春記念館では開館15周年特別展「葉山に開花した山口蓬春の芸術―友情に結ばれた画家と建築家」を開催いたします。
山口蓬春(1893~1971)は、東京美術学校日本画科を卒業後、伝統的な技法を基盤としつつ古今東西の芸術を吸収し、戦後は時代感覚を意識した独自の世界を創り出しました。その制作の舞台となったのは、明るい陽光があふれる葉山御用邸近くの自宅兼アトリエでした。
昭和23年(1948)に当館の地に転居してきた蓬春は、葉山の風光に取材した作品にとり組むようになります。それらは何れも明るくモダンな表現に満ちており、葉山の自然を目の当たりにした蓬春の、純粋な感動と愛着を伺うことができます。
蓬春が還暦を迎えた昭和28年、待望の新画室が新築されます。戦前の祖師谷の画室につづいて、設計は同窓の吉田五十八によるものです。
二人は大正4年(1915)に東京美術学校(現・東京藝術大学)に入学し、ともに他人より倍の在学期間を経て大正12年(1923)に卒業しました。五十八は、蓬春の自宅や画室を設計するだけでなく、自らが設計した建造物の内部に蓬春の作品を用いるなど、芸術を通じた交流を生涯にわたり続けていきました。二人の間には同時代を生きる芸術家として、同志として、建築と日本画という分野を超えた深い結びつきがありました。
本展では、建築家・吉田五十八と日本画家・山口蓬春の芸術を通じた交流に焦点をあて、葉山に開花した蓬春の清新であざやかな美の世界に触れていただければ幸いです。
また、隣接する神奈川県立近代美術館 葉山では、「山口蓬春」展が同時開催され、80点を超える蓬春の代表作をご覧いただけますので、あわせてご案内いたします。