山口蓬春記念館 平成24年度 初冬展
山口蓬春が辿った日本画の世界
-自然・装飾・静謐そして煌き-
2012年10月26日(金)~12月24日(月)
この展覧会は終了しました。
山口蓬春(明治26年〔1893〕-昭和46年〔1971〕)は、大正12年(1923)に東京美術学校日本画科を首席で卒業後、常に新しい日本画の可能性を求めてまい進し続けた画家です。戦前は新興大和絵会での活動をはじめ、六潮会へ参加するなど、新日本画をかたち作る上での重要な過程を辿り、戦後は日本画の枠にとらわれない蓬春モダニズムと形容される世界を創り出しました。
本展では、近年新たに収蔵された蓬春の日本画を中心に、画業初期から晩年にかけてさまざまな変遷を辿る蓬春藝術の特色と魅力を、「自然と人間」「意匠と装飾」「静謐」「煌き」という4つの視点からご鑑賞いただけます。
主な展示作品
Ⅰ. 自然と人間 ~ Nature and Human ~
大正末から昭和初めにかけての頃、蓬春は新興(しんこう)大和絵会(やまとえかい)の同人として活動していました。やまと絵の主要なテーマである人間と自然との交流を扱った作品には牧歌的な景物が描かれ、観る者の心をなごませてくれます。
山口蓬春《山路》 昭和2年(1927) |
山口蓬春《初夏の頃(佐保村の夏)》 大正13年(1924) |
山口蓬春《南嶋薄暮》 昭和15年(1940) |
Ⅱ. 意匠と装飾 ~Decorative Beauty and Design~
琳派の装飾美に触発された作品のほか、近代フランス絵画の感性に導かれたモダンな造形をご覧ください。
山口蓬春《扇面流し》 昭和5年(1930) [前期のみ] |
山口蓬春《都波喜》 昭和26年(1951)頃 [後期のみ] |
山口蓬春《望郷》小下絵 昭和28年(1953) |
Ⅲ. 静謐 ~Tranquillity~
対象そのものの本質的な美や、外光を映す感覚的な美を追求した蓬春の静物画からは、作家の透徹した眼差しのみならず、息遣いまでも感じていただけることでしょう。
山口蓬春《嘉靖方壺》写生 昭和32年(1957) |
山口蓬春《ばら》写生 昭和32年(1957) |
山口蓬春《まり藻と花》 昭和30年(1955) |
Ⅳ. 煌き ~Illumination~
蓬春は晩年、日本画の顔料が持つ特殊性を活かして日本的な美しさを残していきたい、と述べています。
本章では「煌き」をキーワードに、顔料の特性を念頭におきつつ、蓬春絵画を特徴づける色彩表現を探ります。
山口蓬春《佐与利》 昭和26年(1951) [前期のみ] |
山口蓬春《夏の花》 昭和45年(1970) |
山口蓬春《夏影》 昭和38年(1963) |
山口蓬春《白蓮木蓮》 昭和33年(1958) [後期のみ] |