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山口蓬春記念館 令和4年度 春季企画展
山口蓬春と四季の移ろい―蓬春が描いた自然の息吹―
2022年4月9日(土)~6月5日(日)

この展覧会は終了しました。

古来、日本絵画の主要な型の一つとして、春夏秋冬にわたる歳時を描いた四季絵がよく知られています。四季絵は最初、平安後期の儀礼書の中で、屛風や障子などに描かれたことが記されており、当初は和歌からの発想による景物が絵画化されていたようです。室町時代には四季あるいは春・秋の二季を屛風の左右隻に分けて描く形式が、さらに、江戸時代には夏から秋へ、晩秋から早春へと季節の推移を表現した作品も生み出されており、四季を描く伝統はその表現の型を新しくしながら、現代の日本画にも息づいています。

山口蓬春(1893-1971)は東京美術学校日本画科に在籍中、日本絵画の伝統を学んだ後、新しい時代にふさわしい、独自の日本画を追究してきました。美校で学んだやまと絵の形式に関して、「今日の感情なり思想なりに一致させる事は困難だと思う。」(『アトリヱ』昭和7年3月)」と述べているように、その画法から自らを遠ざけます。その一方で、蓬春は四季に生じる万物の代表として描かれた中国宋元時代の花鳥画に魅せられ、花卉草木の写生によって得られる自然観照の境地に重きを置くようになります。

本展では、蓬春作品における花卉花鳥の描写に着目し、その時代時代の感覚を映しながら変遷をたどった蓬春の感性に映る四季の移ろいの表現を展観します。ならびに、蓬春が参考品として入手した月次絵(※)の代表作《十二ヶ月風俗図》(重要文化財)を始め、東洋絵画にみる四季の機微を味わい、古典芸術への思慕を追体験します。

※月次絵・・・・・・12ヵ月の行事や風俗、自然の季節の移り変りなどの画題を月の順に並べ描いた連作。

本展の
みどころ
1. 蓬春作品に見る季節の移ろいを、華やかな花鳥草木の作品から読み取ります
画業初期の瑞々しい作風から、晩年の円熟した境地まで、蓬春作品の魅力に迫ります。
2. 重要文化財《十二ヶ月風俗図》(伝土佐光吉筆、桃山時代)を通期で展示します
正月から歳末まで、12ヵ月にわたる京洛の武家・公家・町衆たちの生活そのものを垣間見ることのできる、近世初期の月次絵の代表作をご覧ください。(場面替あり)
3. 江戸時代の住吉派、狩野派、文人画派による季節の移ろいの表現を楽しみます
蓬春が愛蔵した、住吉具慶・狩野常信・浦上玉堂の作品に観る繊細な季節感覚をお楽しみください。

主な展示作品

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山口蓬春
《山路》
昭和2年
 (後期のみ)
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山口蓬春
《飛潭》
昭和3-4年頃
 (前期のみ)
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山口蓬春
《春野》
昭和6年
 (前期のみ)
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山口蓬春
《四季山水図》
(湊川神社奉納屛風)小下絵
昭和9年
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山口蓬春
《紅梅》
昭和12年頃
 (前期のみ)
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山口蓬春
《泰山木》
昭和14年
 (後期のみ)
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山口蓬春
《白蓮木蓮》
昭和32年
新橋演舞場緞帳原画
(前期のみ)
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山口蓬春
《夏影》
昭和38年
(後期のみ)
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伝土佐光吉
《十二ヶ月風俗図》より11月「御火焚」 
桃山時代、16世紀
(後期のみ)
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狩野常信(1636-1713)
《下行水 画賛》
江戸時代 17-18世紀
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浦上玉堂(1745-1820)
《春山訪里》
江戸時代 18-19世紀
 (前期のみ)
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《芙蓉に小禽》中国・清時代 18世紀