このたび、山口蓬春記念館では春季特別展「山口蓬春をめぐるゆかりの作家たち―日展をささえた清澄な美の世界」を開催いたします。
山口蓬春(1893-1971)は東京美術学校日本画科を卒業後、大正から昭和にかけての新興大和絵運動の中心であった松岡映丘(1881-1938)に師事し、戦前期には日本画の古典を咀嚼した作風を残しています。一方で、西欧の美術の動向を逸早く取り入れ、戦後にはモダニズムの傾向を示す作品を発表、若い作家たちに大いに感化を与えました。
昭和25年に日本芸術院会員に任命された蓬春は、日展日本画部の指導者のひとりとして大きな存在となっていました。蓬春はその師である松岡映丘のように画塾をつくることはありませんでしたが、かれのもとには若い画家たちが集まり、蓬春一門のグループが形成され始めていました。蓬春はこれらの後進の画家たちに対して強い指導力を発揮し、戦後の日本画壇をリードしたのです。
本展では、蓬春が主唱した新日本画の創造の精神を受け継いで日展をささえてきたゆかりの作家たちの作品を集め、戦後の日本画壇にもたらした新しい潮流と清澄な美の世界を顕現します。
山口蓬春 《まり藻と花》
紙本着色
昭和30年(1955)
山口蓬春記念館蔵 |
大山忠作 《游》
紙本着色
昭和51年(1976)
山種美術館蔵 |
髙山辰雄 《春を聴く》
絹本着色
昭和54年(1979)
山種美術館蔵 |
江守若菜 《映》
紙本着色
平成16年(2004)
作家蔵 |
松本榮 《モーツァルト像のある庭園》
紙本着色
平成15年(2003)
作家蔵 |
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