山口蓬春記念館20周年特別展Ⅳ -エピローグ-
山口蓬春と葉山
-葉山町所蔵作品を中心とした蓬春と葉山ゆかりの画家たち-
2012年3月30日(金)~5月27日(日)
この展覧会は終了しました。
山口蓬春(1893-1971)の生涯と画業の変遷を紹介する「山口蓬春記念館20周年特別展Ⅰ~Ⅳ」の最終となる本展では、蓬春が晩年を過ごした「葉山」に焦点をあてます。
山口蓬春は、昭和23年(1948)、葉山町一色に邸宅(現・山口蓬春記念館)を購入し、疎開先の山形から転居しました。以後、この地は蓬春の終の住処となり、戦後の数々の名作を生み出すとともに、昭和25年(1950)の日本芸術院会員就任、昭和40年(1965)の文化勲章受章など画壇での華々しい活躍を支える場所ともなりました。
別荘地である葉山周辺では、そこを訪れる政・財界の人々や文化人たちとの交流が育まれたほか、近隣の鎌倉などには多くの画家が住んでいたことから画壇での親交を深めていく上でも最適な地となりました。
葉山に移り住んだ蓬春は、戦前と同じように建築家・吉田五十八設計による画室や邸宅の増改築を行うなど自らの生活空間を整えていきます。また、陽光溢れる葉山の自然は蓬春の絵画世界に新風を吹き込み、文化人らとの交流からは知的好奇心が刺激され、その画業を更に深めたといえます。
葉山町では、現在までに蓬春をはじめ葉山ゆかりの画家たちの作品を収集してきました。本展ではそのなかから、蓬春のほか、特に交流の深かった中村岳陵(1890-1969)、伊東深水(1898-1972)、加藤栄三(1906-1972)の作品を取り上げます。何れも葉山町周辺に拠点を置き、戦後の日本画壇をリードしながらそれぞれの個性で画壇を華々しく彩った画家たちです。
蓬春が「葉山」という環境のなかでどのような画業を展開していったのかを当館および葉山町所蔵作品を通して探ります。