山口蓬春記念館 令和4年度 夏季企画展
2022年6月11日(土)~9月25日(日)
山口蓬春が風光明媚な神奈川県葉山に転居したのは、昭和22年(1947)のことです。この地で蓬春は、東洋画の知識を基に西欧近代絵画をも彷彿とさせる明るく知的な画面構成を追求し、それは「蓬春モダニズム」と呼ばれ、戦後の日本画壇に進むべき道筋を示しました。これは、戦前から蓬春が取り組んできた新日本画創造の大きな成果と捉えることができるのではないでしょうか。
蓬春は大正12年(1923)に東京美術学校を卒業後、新興大和絵会の一員として、やまと絵の伝統的な技法を学びます。その後、さらなる飛躍を求めて美術団体・
終戦を疎開地の山形県赤湯で迎えた蓬春は「一時は人並みに虚脱の状態に陥り、甚だ無為に日を過して居ました。」(*)とその時の心境を吐露していますが、葉山の地への転居後は、その思いを払拭するかのように明るくモダンな作品を生み出してゆきます。それは戦時下で思うような制作ができない環境の中であたためていた新日本画創造の構想が、一気に花開いたと見ることもできます。
本展では、画業初期の新興大和絵会の時代から、蓬春がいかに近代日本画の進むべき方向を模索しモダニズムへと飛躍していったのかを、当時の画家たちの交流にも触れながらその歩みを振り返ります。
* 山口蓬春『新日本画の技法』美術出版社、昭和26年(1951)
本展の みどころ |
1. やまと絵から蓬春モダニズムに至る過程を紹介
新しい日本画の創造を目指し、琳派や中国宋元時代の花鳥画表現などにも影響を受けた蓬春の作品を展示します。2. 《南嶋薄暮》制作の裏側を公開
《南嶋薄暮》を制作するにあたり、蓬春は取材した台湾において現地の人物や風物を写生し、写真撮影も行っています。本展ではそれらを作品とともに展示し、蓬春の制作の裏側を紹介します。3. 共に活躍した画家たちとの知られざる交流
六潮会での活動は蓬春にとってこの上ない研鑽の場となり、会の解散後もその交流は長く続きました。また、昭和17年(1942)に従軍画家として南方へ派遣された蓬春は、藤田嗣治らと行動を共にしています。本展ではこれらの画家たちとの交流についても紹介します。 |
山口蓬春 《扇面流し》 昭和5年(1930) [前期のみ] |
山口蓬春 《溪》 昭和10年(1935) [後期のみ] |
山口蓬春 《サンティモンにて 写生》 昭和13年(1938) |
山口蓬春 《南嶋薄暮》 昭和15年(1940) |
山口蓬春 《山湖(裏磐梯) 写生》 昭和22年(1947)頃 |
山口蓬春 《果子図》 昭和24年(1949) |
山口蓬春 《都波喜》 昭和26年(1951)頃 |
外狩素心庵 画 牧野虎雄 讃 《暁風白露 扇面》 昭和10年(1935) |
木村荘八《雨》 昭和13年(1938) |
一般 | 600円 | 高校生以下は無料 |
団体割引 | 100円割引 | 20名以上の団体で一週間前までに予約した場合 |
障がい者割引 | 100円割引 | 同伴者1名を含む |
連携館割引 | 100円割引 | ※連携館 葉山しおさい公園・博物館(大人券のみ) 神奈川県立近代美術館 葉山(企画展の一般券・学生券のみ) |
年間入館券 | 1,800円 | ※当館展覧会を何度でもご覧いただけるお得な年間入館券1,800円 (発行月から翌年の同月末日まで有効)を発売中) |
内 容 展示の見どころを学芸員が解説します。
日 時 6月18日(土)、8月13日(土) 13:30~(約20分)
定 員 先着5名程度
集 合 開始時間までに入館手続きをお済ませの上、受付前にご集合ください。
期 間 8月6日(土)~8月31日(水)
上記期間中、高校生以下のお子様連れのご家族は、入館料を一般料金より100円割引いたします。
※イベント等は中止になる場合があります。最新情報は当館ホームページをご覧いただくか、お電話にてお問合せください。