山口蓬春記念館

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春季企画展 山口蓬春・新日本画の描き方 ~教えて、蓬春先生!~

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山口蓬春・新日本画の描き方
~教えて、蓬春先生!~
2023年4月8日(土)~6月4日(日)

この展覧会は終了しました。

 今日、日本画と呼ばれる絵画の歴史は古く、奈良時代から平安時代にかけて中国大陸や朝鮮半島などを経由して日本にもたらされました。日本画で用いる主要な絵具は、岩絵具という天然の鉱石を粉末状に砕いた顔料に膠を混ぜたもので、その発色の美しさは日本画の特色の一つにあげられます。現在でも東アジア諸国、シルクロードの要衝の地には、日本画の源流ともいえる膠を接着剤にして色料を画面に定着させる膠絵(膠彩画)というような絵画が伝存していますが、この絵画技法を今日まで継承しているのはわが国の日本画のみであり、世界的にみても貴重な絵画といえます。

しかし、私たちが使用している「日本画」という言葉自体は、明治時代にアメリカの美術研究家・フェノロサの講演を契機とし、西洋画に対して伝統的な日本の絵画の総称として名付けられました。日本画の概念には伝統的な日本の絵画を総称する意味と、伝統的な日本の絵画技法を継承しつつも西洋画法を取り入れた新様式の絵画を総称する意味があるのです。

日本画家・山口蓬春(1893-1971)は、東京美術学校西洋画科に入学するも日本画科に転科し、以後、戦前から戦後へと時代が激しく移り変わるなかで伝統的な絵画技法を究め、かつ、「新日本画」の創造を目指し邁進し続けました。蓬春は、西洋画と日本画という二つの知識と技法を会得したことで、奇しくも日本画が内包してきた伝統と革新という要素を、身を持って体得し、実践してきた画家ともいえるのです。

本展では、蓬春の言葉の軌跡を辿りながら、その作品の描き方はもちろん、審美眼によって蒐集されたコレクション、また、残された画材類を通じて蓬春が求めた「新日本画」の創作過程を解き明かします。

本展の
みどころ
1. 岩絵具って、膠って何?
蓬春が数々の傑作を生みだした画室にて実際に使用していた画材類を詳しくご説明します!
蓬春の画室は、当時のままの状態で保存され、令和4年(2022)に国登録有形文化財に登録されました。画室に遺された画材類は今なお、生前の創作活動を伝えています。
2. 下絵、下図、念紙って何?
日本画特有の制作工程や技法を蓬春の作品を用いながらご紹介します!
日本画の制作では画材の性質上、油彩画のように最初からカンヴァスに描き始めるという工程をとりません。日本画特有の工程や技法を知ることで、より楽しく、深く蓬春の作品を鑑賞してみてください。
3. 新日本画創造の原動力となった古美術研究の数々をご覧いただきます!
蓬春の審美眼を鍛えるとともに新日本画創造の糧となった古美術品のコレクションと、その完成度の高さから「公蔵されるべき」といわれた模写を合わせてご覧いただくことで、これまでとは一味違った作品の魅力をぜひ発見してみてください。

主な展示作品

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山口蓬春
《呂敬甫筆 草蟲図 模写》
大正7-12年(1918-23)頃
[前期のみ]
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山口蓬春
《扇面流し》
昭和5年(1930)
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山口蓬春
《静物(遼三彩と果物)》
昭和31年(1956)
[後期のみ]
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山口蓬春
《紫陽花》
昭和34年(1959)
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山口蓬春
《花菖蒲》
昭和37年(1962)
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山口蓬春
《バラ 写生》
昭和40年(1965)
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山口蓬春
《瓶花 下図》
昭和40年(1965)
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山口蓬春
《瓶花》
昭和40年(1965)
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俵屋宗達
《伊勢物語図色紙「梓弓」》
江戸時代初期(17世紀前半)
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《草蟲図》
江戸時代(17世紀)
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葉山の画室にて
昭和29年(1954)頃
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画材類が遺された画室