山口蓬春記念館 平成26年度 春季展
山口蓬春と花鳥画
-コレクションにみる四季のうつろい-
2014年3月28日(金)~6月1日(日)
この展覧会は終了しました。
日本の伝統絵画に描きとめられた四季の景物、そこへ登場する花や鳥は、古来より人々に愛しみ慕われてきました。元来中国よりもたらされた花鳥画も、やがて日本の風土のなかで豊かな発展をとげます。日本画家・山口蓬春(1893-1971)は、伝統的なやまと絵の表現を基調とし、中国宋元画の模写や研究を通じてその様式を咀嚼し、新しい日本画の技法による花鳥画を創出しました。さらに古画の蒐集にも勤しんだ蓬春は、琳派と縁のあった某家蔵品入札会が昭和初期に行われた際に、尾形光琳《飛鴨図》を落札しています。本図は現在当館に収蔵され、随一の花鳥図として光彩を放っています。以後蓬春が入手した狩野國松《鶉 鳩図》をはじめとする近世花鳥画の作例からは、画家の審美眼や美意識が偲ばれます。
本展では、近世以降の花鳥図や景物にこめられた風趣をもとめつつ、蓬春が戦前に描いた情趣あふれる花鳥画から、「美の主観的な表現」を目指した戦後のモダンかつ清澄な作風への転身をご覧いただけます。
春の草花が芽吹き、野鳥が訪れる旧山口邸の閑かな佇まいのなか、蓬春が憧れ慈しんだ花鳥画の世界を堪能していただけましたら幸いです。
《士女遊楽図》 山口蓬春筆 昭和3-4年頃 |
《雙花》 山口蓬春筆 昭和12年 |
《白蓮木蓮》 山口蓬春筆 昭和33年 |
《花菖蒲》 山口蓬春筆 昭和37年 |
《鶉 鳩図》 松浦家伝来 伝狩野國松筆 室町時代 |
《飛鴨図》 尾形光琳筆 江戸時代 |
《草蟲図》 筆者不詳 江戸時代 |
《櫻草之圖》 菱田春草筆 明治時代 |