桃山時代後期(16世紀)に本阿弥光悦と俵屋宗達が創始し、江戸時代には尾形光琳らが織りなした琳派芸術――。やまと絵を基盤とした豊かな色彩と斬新な装飾性に富む造形は後世の人々をも魅了し、その脈々たる流れは近現代の美術にも受け継がれています。山口蓬春(明治26年〔1893〕-昭和46年〔1971〕)もやまと絵の伝統を学ぶ過程において琳派の造形感覚に深い共感を寄せた日本画家です。
蓬春が師・松岡映丘の主宰する新興大和絵会展に発表した《扇面流し》(昭和5年〔1930〕)は、やまと絵の濃彩色で描かれた扇面画が屛風に貼り交ぜられた優品であり、渾身の作ともいえるでしょう。また古美術のコレクターとしても知られていた蓬春はその画業に資するべく、俵屋宗達《伊勢物語図色紙》、尾形光琳《飛鴨図》といった琳派の名品を蒐集しその作風を偲んでいました。
本展覧会では、蓬春が愛で慈しんだ琳派作品をはじめ、自らが蒐集した3千点を超す書籍『山口蓬春文庫』(神奈川県立近代美術館蔵)より、琳派研究の基礎となった稀覯本を展示し、蓬春が憧れ追い求めた琳派芸術の魅力に迫ります。
山口蓬春《十二ヶ月図》より 「扇面流し」「夏草図」 昭和初年 一般財団法人野間文化財団 [後期のみ]
山口蓬春《十二ヶ月図》より「扇面流し」「夏草図」 昭和初年 一般財団法人野間文化財団 [後期のみ] |
小茂田青樹《十二ヶ月図》より 「櫻」「梅雨」 昭和3年(1928) 一般財団法人野間文化財団 [前期のみ]
小茂田青樹《十二ヶ月図》より「櫻」「梅雨」 昭和3年(1928) 一般財団法人野間文化財団 [前期のみ] |
山口蓬春《花菖蒲》 昭和37年(1962) 山口蓬春記念館
山口蓬春《花菖蒲》 昭和37年(1962) 山口蓬春記念館 |
竹下弘編『琳派百華譜』第19集 昭和6年(1931) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [前期のみ]
竹下弘編『琳派百華譜』第19集 昭和6年(1931) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [前期のみ] |
中村芳中[摸]『光琳畫譜』 享和2年(1802) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [後期のみ]
中村芳中[摸]『光琳畫譜』享和2年(1802) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [後期のみ] |
山中定次郎[序]芸艸堂『時代屛風名畫集』 昭和12年(1937) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [後期のみ]
山中定次郎[序]芸艸堂『時代屛風名畫集』 昭和12年(1937) 神奈川県立近代美術館 山口蓬春文庫 [後期のみ] |
山口蓬春《扇面流し》 昭和5年(1930) 山口蓬春記念館 [前期のみ]
山口蓬春《扇面流し》 昭和5年(1930) 山口蓬春記念館 [前期のみ] |
俵屋宗達《伊勢物語図色紙 梓弓》 江戸時代(17世紀前半) 山口蓬春記念館
俵屋宗達《伊勢物語図色紙 梓弓》 江戸時代(17世紀前半) 山口蓬春記念館 |
後水尾天皇《宸翰 朗詠》 江戸時代(17世紀) 山口蓬春記念館 [前期のみ]
後水尾天皇《宸翰 朗詠》 江戸時代(17世紀) 山口蓬春記念館 [前期のみ] |
俵屋宗達 《歌仙絵色紙 藤原兼輔》 江戸時代(17世紀前半) 山口蓬春記念館 [後期のみ]
俵屋宗達《歌仙絵色紙 藤原兼輔》 江戸時代(17世紀前半) 山口蓬春記念館 [後期のみ] |
烏丸光廣 《幽斎書入和歌》 慶長4年(1599) 山口蓬春記念館 [後期のみ]
烏丸光廣《幽斎書入和歌》慶長4年(1599) 山口蓬春記念館 [後期のみ] |
喜多川相説《蓮池図》 江戸時代 17世紀 山口蓬春記念館 [後期のみ]
山口蓬春《花菖蒲》 昭和37年(1962) 山口蓬春記念館 |
山口蓬春原画 『宇野信夫戯曲選集』 第2巻 扉画 蔦 昭和38年(1963) 山口蓬春記念館
山口蓬春原画『宇野信夫戯曲選集』第2巻 扉画 蔦 昭和38年(1963) 山口蓬春記念館 |
今村紫紅《雷神図》 明治-大正時代 山口蓬春記念館
今村紫紅《雷神図》 明治-大正時代 山口蓬春記念館 |
梅原龍三郎《浅間山》 扇面 山口蓬春記念館
梅原龍三郎《浅間山》 扇面 山口蓬春記念館 |
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川端龍子《梅薫る》 制作年不詳 個人 [前期のみ] ⒸMinami Kawabata & Ryuta Kawabata 2015 /JAA1500029
川端龍子《梅薫る》 制作年不詳 個人 [前期のみ] ⒸMinami Kawabata & Ryuta Kawabata 2015 /JAA1500029 |
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