山口蓬春記念館 平成29年度 新春収蔵品展
山口蓬春とお茶
―蓬春邸にみる茶の湯のこころ―
2018年2月10日(土)~4月8日(日)
この展覧会は終了しました。
「茶の湯」とは、いうまでもなく日本独自に育まれた伝統文化。それは一服のお茶を楽しむために、茶室や庭などの空間をととのえ、絵画や花を飾り鑑賞する工夫を凝らし、客人を心地よくもてなすための作法が融合した総合芸術をさします。
日本画家・山口蓬春(1893-1971)は作家として駆け出しの頃から古美術品を求め自らの芸術の糧とし、自ら培った審美眼をもって当時の文化人たちとともに茶の湯を楽しんでいました。一方、妻の春子は元・日本画家でありましたが、結婚後は蓬春を支えるため絵を描きませんでした。そして武者小路千家の茶道を心得るなど、豊かで教養に溢れた彼女は日ごろより茶の湯のこころを以て、多忙な生活を極めていた蓬春の客人を歓待しました。
このような二人は葉山の邸宅に、茶の湯をたのしむための水屋や露地のある坪庭などの心地よい空間をととのえました。また二人には名だたる茶人・数寄者・目利きたちとの交流があり、そのため貴重な茶道具や資料が集まったのです。
本展では蓬春の作品とコレクションより茶の湯のこころを感じていただける作品をご鑑賞いただきます。中でも江戸時代の茶の湯を伝える珍しい絵巻である前田氏実模《宇治農手振》を紹介、あわせて若き日の蓬春が修学院離宮に取材した色濃い緑の美しい《緑庭》(昭和2年、第8回帝展特選)もご覧ください。そして蓬春邸にある新春にふさわしい茶の湯の世界をお楽しみください。
鏑木清方絵 《老松茶器 銘 松風》 昭和40年(1965)頃 |
《梅棗》 一閑張 江戸時代 17世紀 |