山口蓬春記念館 令和4年度 新春特別展
2023年2月4日(土)~4月2日(日)
山口蓬春(1893-1971)は、10代半ばから白馬会絵画研究所にて油絵を学び、大正4年(1915)に東京美術学校西洋画科に入学します。しかし指導教官の助言などにより大正7年(1918)に西洋画科を退学し、同校日本画科を受験し再入学します。洋画から日本画に転向した蓬春は、当時やまと絵の第一人者であった松岡映丘(1881-1938)の指導のもと、伝統的な日本画技法を学び、その才能を開花させます。大正10年(1921)には、やまと絵の近代化に努めていた映丘を顧問として門下生たちが新興大和絵会を結成し、蓬春も大正12年(1923)に日本画科を首席で卒業すると同会に加わり研鑽を積みます。そして蓬春が大正15年(1926)の第7回帝展に出品した《三熊野の那智の御山》は、特選と帝国美術院賞、皇室買上げという三重の栄誉に浴し、翌年の《緑庭》でも特選を受賞するなど、一躍、蓬春は画壇において脚光を浴びる存在となりました。
この時期、新興大和絵会の特徴とされた岩絵具の群青や緑青などによる色鮮やかな濃彩で描かれた作品が流行するなど、近代日本画史上においてこの新興大和絵の活動は重要な出来事の一つとなっています。新興大和絵会は昭和6年(1931)に解散しますが、蓬春は新たな美術団体・六潮会の結成に参加するなど、新興大和絵会時代では見られなかった新しい日本画表現を模索してゆきます。しかし蓬春の多岐にわたる画業において大正時代から昭和初期に参加した新興大和絵会の時代こそが、蓬春を画壇の第一線に押し上げ、かつ、やまと絵を突き詰めた先に彼がその後創造していく多様な画風の礎を形成したといえるのではないでしょうか。その意味で新興大和絵会は、モダニスト・山口蓬春を生み出すうえで重要な役割を果たしたと言えます。
本展では、新興大和絵会時代の蓬春の作品に着目します。また当館では初となる千葉県成田市の
本展の みどころ |
1. 蓬春の出世作《緑庭》を読み解く!
昭和2年(1927)の第8回帝展に蓬春が出品した《緑庭》は、前年に続き二年連続で特選を受賞した新興大和絵会時代の代表作です。その見所を探ります。2. 大倉集古館所蔵の《木瓜》を初展示!
昭和4年(1929)の第9回新興大和絵会に出品された《木瓜》は、その後の写実的な花鳥画を展開する蓬春の作風を予感させる逸品です。当館では初の展示となる二曲一隻に描かれた大作の木瓜をご覧ください。3. 小御門神社の御社宝を初展示!
千葉県成田市に鎮座する小御門神社には、蓬春を含む松岡映丘一門によって制作された御祭神藤原師賢公の御事蹟絵が伝わります。昭和14年(1939)の師賢公が仕えた後醍醐天皇六百年祭のときに完成したものであり、当館では初の展示となります。 |
山口蓬春 《初夏の頃(佐保村の夏)》 大正13年(1924) 第4回新興大和絵会展 山口蓬春記念館 [前期のみ] |
山口蓬春 《木場》 大正14年(1925) 第5回新興大和絵会展 山口蓬春記念館 |
山口蓬春 《夏日[山路]》 昭和2年(1927) 第7回新興大和絵会展 山口蓬春記念館 |
山口蓬春 《緑庭》 昭和2年(1927) 第8回帝展 山口蓬春記念館 [後期のみ] |
山口蓬春 《扇面流し》 昭和5年(1930) 第10回新興大和絵会展 山口蓬春記念館 [後期のみ] |
山口蓬春 《木瓜》 昭和4年(1929) 第9回新興大和絵会展 大倉集古館 [前期のみ] |
松岡映丘 「志賀の浦なみ」 《小御門神社御繪傳》上巻 昭和14年(1939) 小御門神社 [後期のみ] |
山口蓬春 「那古谷之配所」 《小御門神社御繪傳》下巻 昭和14年(1939) 小御門神社 [後期のみ] |
山口蓬春 《御堂供養》 大正 9年(1920)頃 神奈川県立近代美術館(山口蓬春文庫) |
山口蓬春 《比良暮雪》 大正13年(1924)頃 神奈川県立近代美術館(山口蓬春文庫) |
小堀鞆音 《伴大納言絵巻 模写》 山口蓬春記念館 |
一般 | 600円 | 高校生以下は無料 |
団体割引 | 100円割引 | 20名以上の団体で一週間前までに予約した場合 |
障がい者割引 | 100円割引 | 同伴者1名を含む |
連携館割引 | 100円割引 | ※連携館 葉山しおさい公園・博物館(大人券のみ) 神奈川県立近代美術館 葉山(企画展の一般券・学生券のみ) |
年間入館券 | 1,800円 | ※当館展覧会を何度でもご覧いただけるお得な年間入館券1,800円 (発行月から翌年の同月末日まで有効)を発売中) |
内 容 展示の見どころを学芸員が解説します。
日 時 2月12日(日)、3月19日(日) 13:30~(約20分)
定 員 先着5名程度
集 合 開始時間までに入館手続きをお済ませの上、受付付近にご集合ください。
期 間 令和5年1月5日(木)~2月26日(日)
日本画家同士、親交があった山口蓬春と鏑木清方。葉山と鎌倉にある記念美術館がお得に楽しめる企画を連携開催します。
内 容 葉山町にある美術館・博物館を学芸員の解説付きで見学します。
日 時 2月16 日(木) 9:30~14:30
場 所 葉山しおさい博物館・山口蓬春記念館・神奈川県立近代美術館 葉山
参加費 無料
定 員 30名(応募者多数の場合は抽選)
締 切 2月6日(月)
申 込 はがき又はFAXに住所、氏名(ふりがな)、年代、電話番号、イベント名を明記の上、お申込みください。
内 容 山口邸の佇まいとともに抹茶と季節のお菓子をお楽しみください(学芸員の解説付、1席約20分)。
日 時 3月4日(土)、5日(日)
第1席10:00~、第2席11:00~、第3席13:00~、第4席14:00~
場 所 山口蓬春記念館「桔梗の間」
費 用 1席600円(当日の入館券は別途必要)
定 員 1席5名
協 力 葉山町茶道連盟
申 込 2日前までに電話で氏名、希望日、人数をご予約ください。
※イベント等は中止になる場合があります。最新情報は当館ホームページ・SNS等をご覧いただくか、お電話にてお問合せください。