平成14年10月31日(木)〜12月23日(月) 山口蓬春(1893-1971)は、日本画壇の第一線で活躍する傍ら、古美術の蒐集家としても知られていました。 蓬春芸術の展開にとって古典の研究は欠かせないものでしたが、その対象はかれが自ら指向するやまと絵の分野にとどまらず、むしろ積極的に他流派への広がりを見せます。その中で養われていった鑑識眼により今回紹介する狩野派のコレクションが生まれました。 本展では、蓬春コレクションによる狩野派の作品より、狩野國松、探幽、尚信、常信の各画人をご紹介いたします。 同時に、蓬春が大正3年から5年(1914-16)にかけて、東京美術学校西洋画科在籍中本名の「三郎」を名乗っていた頃の油彩画を初めて出品いたします。
平成14年9月1日(日)〜10月27日(日) この度、山口蓬春記念館では「新収蔵作品展」を開催し、昨年度収蔵した作品7点(購入・寄贈)を展示いたします。購入したのは蓬春の作品6点で、いずれも蓬春芸術の展開を辿ることができる代表作といえましょう。 戦前の作品として、新興大和絵会時代の屏風《扇面流し》(昭和5年)、日本橋三越で開催した第二回個展のための《泰山木》(昭和14年)、紀元二千六百年奉祝美術展出品作の《南嶋薄暮》(昭和15年)、そして戦後蓬春が移り住んだ葉山では、実験的な画風展開により「蓬春モダニズム」の到来を告げる《都波喜》(昭和26年頃)や《佐与利》(昭和26年)、昭和30年代に入り静物画を通じて写実への傾倒を呈する《まり藻と花》(昭和30年)など、蓬春の辿った新日本画の軌跡を展観していただけます。 また当館では、現在芸術院会員・日展常務理事である佐藤圀夫氏より日春展出品作《朝霞》(平成12年)をご寄贈いただきました。氏は蓬春が記念館のある葉山・一色に居を構えた昭和23年に門下に入り、新日本画の精神を受け継いだ画家の一人でもあります。 蓬春がその生涯を終えるまでの23年間、自宅兼アトリエとして創作を続けたこの地で、蓬春芸術の魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
平成14年6月6日(木)〜7月30日(火) 山口蓬春記念館は、故山口蓬春(1893-1971)のはる夫人により土地、 建物及び所蔵作品の寄贈を受け、平成三年に開館しました。 それらの作品や資料には、蓬春の生前に親交のあった芸術家によるものも 多数含まれていました。
本展では記念館が所蔵する蓬春と近代の美術家による作品30点を出品し、 戦前から戦後にかけての蓬春の多彩な交友を辿ろうとするものです。
本展を通じて、モダニスト・山口蓬春の新たなる一面を見出すことが できるのではないでしょうか。
平成14年4月2日(火)〜6月2日(日) 日本画家・山口蓬春(1893-1971)は数多くの静物画を遺しています。それらの作品のモチーフとなった陶磁器類―遼三彩鉢や景徳鎮窯の磁器、古九谷鉢など―の多くは蓬春自身が長年にわたって収集し、愛蔵していたものです。今回はそれらのコレクションのうち、景徳鎮、高麗青磁、李朝白磁、茶陶を中心に展示致します。
記念館新収蔵の《泰山木》《佐与利》《まり藻と花》とともに、蓬春が生涯にわたって愛してやまなかった東洋陶磁の名品をお楽しみください。
平成14年1月8日(火)〜3月28日(木) 日本画家・山口蓬春(18931971)の名を世に知らしめた作品として、《神苑春雨》(大正13年、第5回帝展入選)、《三熊野の那智の御山》(大正15年、第7回帝展特選)、《緑庭》(昭和2年、第8回帝展特選)などが挙げられますが、それらの作品にはやまと絵の精神が最も優美な姿で表現されています。 蓬春のやまと絵における研鑚は、松岡映丘(1881-1938)を盟主とする新興大和絵会における活動に始まり、自らの鑑識眼により生涯にわたって蒐集された古美術の名品を糧にすることによって積まれていきました。 本展では、蓬春が永年にわたって築いたコレクションからやまと絵の優品を中心に、蓬春自身が追求したやまと絵のかたちをご紹介いたします。遺愛の品々を通じて、美術家・山口蓬春の生前の暮らしを偲んでいただければ幸いです。