平成15年の展示作品へ
    平成14年の展示作品へ
 
  秋季特別展 楓と桜−新宮殿の杉戸絵−
  日本画家・山口蓬春は、昭和7(1932)年に初めての海外旅行で朝鮮の平壌などへ行き、その時の取材をもとに《市場》を描いています。それ以来、台湾、中国など東洋の各地へ出かけては多くの作品を残しています。昭和15(1940)年の紀元二千六百年奉祝美術展覧会に出品された《南嶋薄暮》は台湾南部で取材した作品であり、制作のために題材となった現地の先住民やコブのある珍しい牛などの多くの写真や素描が残されています。また、蓬春の作品には自らが収集した唐三彩をはじめとする陶器などを題材にしたものが多く、日本だけでなく東洋各地に蓬春の関心が向いていたことが窺い知れます。
今回の展示では、「旅」をテーマに蓬春が東洋へ旅し現地を取材して描いた作品や蓬春が収集した東洋にゆかりのある古美術品などに焦点をあてると同時に、戦時中の昭和20(1945)年に疎開した山形県東置賜郡赤湯町(現・南陽市)で写生した素描をも展示することといたします。

 会  期:平成16年10月22日(金)〜 12月23日(木・祝)

 開館時間:午前10時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)

 休 館 日 :毎週月曜日

 会  場:山口蓬春記念館
      〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色2320 tel:046-875-6094

 入 館 料 :一般400円 高校生以下は無料
      団体割引 20名以上の団体 50円割引(1週間前までに予約が必要です)
      連携割引 連携館の入場券所持者 50円割引
      
※連携館:葉山しおさい公園(当日券のみ) tel.046-876-1155
       神奈川県立近代美術館 葉山館 tel.046-875-2800
  主な展示作品
 
《南嶋薄暮》 《南嶋薄暮》
山口蓬春 1940(昭和15)年
 
素描《北京風景》 《市場 小下図》
素描 《北京風景》
山口蓬春 1943(昭和18)年
《市場 小下図》
山口蓬春 1932(昭和7)年
 
《唐三彩立女俑》 《白地鉄絵重線瓶》
《唐三彩立女俑》
中国・唐代(8世紀頃)
《白地鉄絵重線瓶》
磁州窯
中国・宋代(10〜12世紀)
 

《遼三彩皿》
《静物(遼三彩と果物)》
《遼三彩皿》
中国・遼代(10〜12世紀)
《静物 (遼三彩と果物)》
山口蓬春 1956(昭和31)年

 
  秋季特別展 楓と桜−新宮殿の杉戸絵−
  普段見ることができない新宮殿杉戸絵を山種美術館所蔵の四分の一下絵によってご覧いただこうという企画です。山口蓬春《楓》と橋本明治《朝陽桜》をあわせて展示し、杉戸絵完成までの軌跡を辿ります。

 会  期:平成16年9月18日(土)〜 10月17日(日)
※※※※※※※平成16年10月15日は、開館記念日のため、入館無料です。

  主な展示作品
 
《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》 《朝陽桜》
《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》
山口蓬春 1967(昭和42)年
山種美術館蔵
《朝陽桜》
橋本明治 1970(昭和45)年 
山種美術館蔵

 
《新宮殿杉戸楓杉板習作》 《楓の図(小下絵)》
《新宮殿杉戸楓杉板習作》
山口蓬春1968(昭和43)年頃
山種美術館蔵
《楓の図(小下絵)》
山口蓬春 1970(昭和45)年
山種美術館蔵

 
画室で新宮殿の杉戸絵を制作する蓬春 《新宮殿杉戸楓4分の1下図》
画室で新宮殿の杉戸絵を制作する蓬春 《新宮殿杉戸楓4分の1下図》
山口蓬春 1967(昭和42)年
山種美術館蔵

 
  ● 夏季展 六潮会という時代
  このたび、山口蓬春記念館では夏季展「六潮会(りくちょうかい)という時代」を開催いたします。「六潮会」は昭和5年に日本画の山口蓬春・福田平八郎・中村岳陵、洋画の木村荘八・牧野虎雄・中川紀元、美術評論の外狩素心庵・横川毅一郎を同人として結成された団体で、昭和15年まで展覧会、研究会等を開き、同人たちにとって有益な研磨の場となりました。蓬春にとってもこの「六潮会」は、画家としての活動の主要な場となりました。蓬春は、昭和10年に「拘束性のある団体からすべて脱退する」旨の声明を発表して、帝国美術院展覧会参与を辞退し、また師松岡映丘を盟主とする国画院からも脱退しましたが、「六潮会」の活動は続けています。日本画、洋画、美術評論という異なったジャンルの人たちで結成されたこのユニークな団体は、日本画の新しい可能性を模索して行こうとする蓬春には大きな魅力があったのでしょう。
 今回の展示は蓬春の六潮会時代(昭和5年〜15年)の作品に焦点をあてるとともに、当館所蔵の六潮会同人たちの作品や書簡をも展示することといたします。

 会  期:平成16年5月27日(木)〜 7月19日(月・祝)
  主な展示作品
 
山口蓬春《泰山木》 木村荘八《扇面 雨》
木村荘八《扇面 雨》
昭和13(1938)年
牧野虎雄《芒の原》
山口蓬春《泰山木》
昭和14(1939)年
牧野虎雄
《芒の原》


 
福田平八郎《月》 福田平八郎《月》
昭和10(1935)年
中村岳陵《師子都久志》 中村岳陵《師子都久志》
年代不詳 
同人合作《六潮門歌人の集》 同人合作《六潮門歌人の集》
昭和9(1934)年 

 
  ●春期展 地域の芸術文化再発見 山口蓬春展〜葉山を愛し、自然を愛した画家〜
  日本画家山口蓬春は、昭和23年から亡くなる昭和46年までの23年間をこの葉山の地で過ごしました。戦後、新日本画の創造を求めてまい進しつづけた蓬春にとって葉山の豊かな自然は、心の慰めであり、イメージの源泉であったと思われます。
 このたび、当館では、葉山町芸術祭の一環として、「地域の芸術文化再発見 山口蓬春展〜葉山を愛し、自然を愛した画家〜」を開催することとなりました。葉山町所蔵の作品7点を中心として展示を構成することといたします。
蓬春は、身近な自然に目を向け、そこに生きる草花や生き物たちを「花鳥画」という画題のなかで描いていきました。それらは、ある時は、正確な自然観照に基づいた写実性で、ある時は琳派風な装飾性で、またある時は宋元院体画を参考にした造型で、その時、その時の目的にあった描写で描いています。しかし、その根底にあるものは、常に自然に対する暖かい眼差しであるといえるでしょう。
 「花鳥画の、作品の優劣は、その作家の自然への愛の深さと、観察力の如何とのみが決定すると謂っていい」
 『邦画 四月号』(昭和10年4月発行)で蓬春が語っているように、美は、自然のなかにこそあり、その美を発見することができるのは、自然に対する深い愛情に他ならないのです。
 今回は、「花鳥画」を取り上げ、蓬春の本画や素描、模写を展示するとともに、蓬春コレクションからも花鳥画の名品を選んで展示することにより、伝統的な画題に敢えて取り組み、日本画の可能性を模索し続けた蓬春の画業を探っていきます。

 会  期:平成16年4月16日(金)〜 5月23日(日)

 共  催:山口蓬春記念館・葉山芸術祭実行委員会

 後  援:葉山町・葉山町教育委員会

主な展示予定作品
○山口蓬春
 ・《早春》 昭和5〜6(1930〜31)年 葉山町蔵
 ・《春光》 昭和6 (1931)年 葉山町蔵
 ・《桃》 昭和26(1951)年 葉山町蔵
 ・《千寿》 昭和和27(1952)年 葉山町蔵
 ・《首夏の花》昭和27(1952)年 葉山町蔵
 ・《洩るゝ陽》 昭和36(1961)年 山口蓬春記念館蔵
 ・《鳴鶴図(文正筆)》 年代不詳 山口蓬春記念館蔵

○その他
 ・尾形光琳《飛鳧図(ひふず)》 江戸時代(18世紀初) 山口蓬春記念館蔵
 ・銭選《瓜虫図》 中国・南宋〜元時代(12世紀-14世紀) 山口蓬春記念館蔵
 ・狩野探幽《瓜虫図(趙昌筆)》 江戸時代(17世紀)  山口蓬春記念館蔵
  他
 
山口蓬春《首夏の花》 山口蓬春《鯉》
山口蓬春《首夏の花》 昭和27(1952)年
葉山町蔵
山口蓬春《鯉》 昭和14(1939)年
葉山町蔵

 
山口蓬春《洩るゝ陽》 銭選《瓜虫図》
山口蓬春《洩るゝ陽》 昭和36(1961)年
山口蓬春記念館蔵
銭選《瓜虫図》
中国・南宋〜元時代(12世紀-14世紀) 山口蓬春記念館蔵

 
山口蓬春《鳴鶴図(文正筆)》 尾形光琳《飛鳧図(ひふず)》
山口蓬春《鳴鶴図(文正筆)》
年代不詳 山口蓬春記念館蔵
尾形光琳《飛鳧図(ひふず)》
江戸時代(18世紀初)
山口蓬春記念館蔵

 
  ●冬季特別展  山口蓬春生誕110年記念企画 蓬春ゆかりの作家による椿絵展
  完売となって以来再版を要望する声が絶えなかった『山口蓬春素描集』の改訂版が刊行したのを記念した展覧会といたします。
 日本画の制作では、その画材の性質上、まず対象を写生し、次に小下図、大下図を作り、それから本画制作へ入るという、何段階かの過程を経て絵づくりを進めていきます。特に、日本画における写生について蓬春は、「洋画のデッサンとは違い、寫生そのものが目的ではなく、完全なタブロウを作るための基礎工作である」「寫生は、作者の觀たまま感じたまま、知ったままを、そのまま殘らずそこへ描き込んだものでなければ、完全な寫生と言うことは出來ない。−省略−寫生は自然に對して何處迄も忠實でなければならぬと言うことを意味するのである。」(山口蓬春『新日本画の技法』昭和26年より)と語っています。つまり写生(素描)は、本画制作への出発点となり、その線や色彩は、画家が最初に対象を前にしたときの感動をそのまま伝えているといえるでしょう。素描には、本画の丁寧な仕上げの段階では隠れてしまう、あるがままの画家の姿がしばしば現わされているのです。
 本展では、蓬春の素描と本画を通した自然観照のまなざしを、移りゆく四季の彩りとともにご紹介いたします。

 会  期:平成16年1月7日(水)〜4月11日(日)
      ※1月12日(月・祝)は開館し、翌13日(火)は休館いたします。
      ※会期中、一部展示替えを行います。
      前期:平成16年1月7日(水)〜3月7日(日) ※展示替え3/8(月)
      後期:平成16年3月9日(火)〜4月11日(日)

主な展示予定作品
 ○前期
  ・山口蓬春《飛潭》昭和3-4(1928-1929)年
  ・山口蓬春《春野》昭和6(1931)年
  ・山口蓬春《渓》昭和10(1935)年
  ・「四季の花」をテーマとした素描 他
 ○後期
  ・山口蓬春《泰山木》昭和14(1939)年
  ・山口蓬春《首夏》昭和4-5(1929-1930)年
  ・山口蓬春《立葵》昭和8(1933)年
  ・「四季の実り」をテーマとした素描 他
 ○全期
  ・山口蓬春《新橋演舞場緞帳原画 白蓮木蓮》昭和33(1958)年
  ・山口蓬春《紅梅》昭和12(1937)年
  ・山口蓬春《紫陽花》昭和34(1959)年
  ・山口蓬春《新冬》昭和37(1962)年
  ・「四季」をテーマとした素描
  ・菱田春草《櫻草図屏風》年代不詳 他
  主な展示作品
 
素描《木蓮》 素描《花菖蒲》
山口蓬春 素描《木蓮》 山口蓬春 素描《花菖蒲》

 
山口蓬春 《新橋演舞場緞帳原画 白蓮木蓮》
山口蓬春 《新橋演舞場緞帳原画 白蓮木蓮》
昭和33(1958)年
 
《青磁象嵌牡丹文梅瓶》 山口蓬春 《花菖蒲》
《青磁象嵌牡丹文梅瓶》
山口蓬春 《花菖蒲》
昭和37(1962)年
 
菱田春草 《櫻草図屏風》(左) 菱田春草 《櫻草図屏風》(右)
菱田春草 《櫻草図屏風》
大正時代
 

 
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