戦後、新日本画の進展の中軸となり、日展幹部として活躍していた蓬春は、一流の芸能人たちから美術面での支援を要請されていました。 東京美術学校で松岡映丘のもとに学び、卒業後も新興大和絵会に在籍して有職故実の研究をよくした蓬春は、歌舞伎の世界では舞台の時代風俗や装束、調度などの監修を委嘱されたのです。中村歌右衛門(六世)とはそれらの仕事を通じて親しい交流があったことが、それぞれの遺品からも窺えます。 一方、昭和20年代後半より日本全国には多くの劇場が建てられました。大型劇場では舞台に緞帳が飾られるようになり、それらの原画は蓬春を始めとする当世一流の画家たちによって制作されました。 原画として残っている《白蓮木蓮》(新橋演舞場緞帳原画)、《杜》(国立教育会館緞帳原画)をはじめ、蓬春による現存するすべての下図をご覧いただき、劇場の華やかな雰囲気や舞台空間が生み出すドラマを感じていただければ幸いです。 展示会名称: 山口蓬春と多彩な芸能の世界 ―昭和美術のアートディレクター
会 期: 平成18年1月7日(土)〜3月26日(日) 開館時間 午前10時〜午後5時(入館は、午後4時30分まで) 休館日 毎週月曜日(ただし、1/9は開館し、翌10日は休館)、3/22(水)。 ※2/13(月)に一部展示替えを行います。 会 場: 山口蓬春記念館 〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色2320 TEL:046-875-6094 FAX:046-875-6192 後 援: 葉山町教育委員会
入 館 料 : 一 般 500円 高校生以下 無料 団体割引 20名以上の団体 50円割引(1週間前までに予約をした場合) 連携割引 連携館の入場券所持者 50円割引 ※連携館:葉山しおさい博物館(当日券のみ)、神奈川県立近代美術館葉山館(一般券及び学生券)
初め洋画を学びながらも日本画家としての道を選んだ山口蓬春(1893-1971)は、戦前から戦後にかけてのあゆみのなかで「新日本画の創造」をめざして模索を続けました。 蓬春は、遂にヨーロッパを訪れることはありませんでしたが、たびたび中国、朝鮮、台湾を訪れ、その時の取材をもとに作品を制作しました。しかしそれらの作品は、単に日本にはない異国の珍しい風景を描くのではなく、丹念な取材によって収集された情報のなかから、「今」の感覚に最も相応しいエキスを抽出し、リアルな描写力によって生み出された全く新しい情景といえます。実在しない情景でも何の不自然もなくそこに現出させる、そこに蓬春芸術根底にある一種の幻想美を見出すことができるのです。また、昭和20年代に描かれたシュールレアリスム的な作品には、フランス近代絵画を思わせるものがあり、これまでの日本画にはない表現形式による新しいフォルムと色彩構成によって幻想的な空間を創りだしています。しかし、蓬春の幻想は、感傷的なものではなく、常にヴァルールの追求と知的な画面処理という新しい感覚で日本画を捉え直した時に現われる造形上の幻想美であるといえます。 本展では、明るくスマートと評される蓬春芸術の根底にある一種の幻想美を「エキゾティスム」と「ロマンティスム」という新たな視点で読み解きます。
会 期: 平成17年10月22日(土)〜12月23日(金・祝) ※会期中、一部展示替えを行います。 前期 10月22日(土)〜11月23日(水・祝) 後期 11月25日(金)〜12月23日(金・祝) 開館時間: 午前10時〜午後5時(入館は、午後4時30分まで)
入 館 料 : 一 般 500円 高校生以下 無料 団体割引 20名以上の団体 50円割引(1週間前までに予約をした場合) 連携割引 連携館の入場券所持者 50円割引 ※連携館:葉山しおさい博物館(当日券のみ)、 神奈川県立近代美術館葉山館(一般券及び学生券) 関連イベント: 葉山特別見学会 葉山町にある美術館・博物館を学芸員の解説を聞きながら見学いたします。 ・日時 平成17年10月27日(木) 午前9時30分〜正午 ・場所 葉山しおさい博物館・山口蓬春記念館 ・定員 20名(定員になり次第締め切りとさせていただきます) ・参加費 無料 申し込み方法 往復はがきに住所、氏名、年齢、電話番号を明記し、当館宛にお申込み下さい。 ※当財団の個人情報は、当財団の生涯学習事業の目的に限り使用いたします。 年間入館券のご案内: 平成17年10月21日より山口蓬春記念館では年間入館券の発売を開始します。 年間料金は1,300円で、有効期限内の企画展及び特別展を何回でも閲覧できるほか、同伴者2名まで50円割引が受けられます。記念館受付で販売いたします。 後 援: 神奈川県教育委員会、葉山町教育委員会
新日本画の世界を拓いた山口蓬春(1893〜1971)は、東京美術学校日本画科を卒業後、伝統的な技法を基盤としつつ広く内外の芸術を吸収し、戦後は時代感覚を意識した「蓬春モダニズム」と形容される独自の世界を創り出しました。その制作の舞台となったのは、明るい陽光があふれる葉山御用邸近くの自宅兼アトリエでした。 北に山を背負い、庭は700坪、南下りの理想的なたたずまい、瀟洒な数奇屋造りの家と丹精をこめた日本庭園―夫妻の暮らしたその空間に彩りを添えたのは、夫妻が収集した茶道具でした。 春子夫人は宗流の茶人で、葉山の自宅ではお茶事を催していたようです。蒟醤(きんま)の菓子器や桃林宗陽の茶杓など、華奢で繊細な茶道具を好んでいたように思われます。また蓬春も夫人同伴で茶会に赴いたり、同世代の陶芸家との交流の中で茶碗や花入などのうつわを収集していきました。夫妻が愉しんだ茶道具からは夫妻の会話や暮らしぶりまでが伝わってくるようです。 本展では蓬春コレクションから季節の取り合わせとして、蓬春夫妻が催したお茶事をイメージして、掛物・釜・水指・茶入・茶碗・菓子器を陳列し、併せて季節の日本画や素描を展示いたします。本展を通じて蓬春夫妻が大切にしていた「和敬清寂」の境地を偲んでいただければ幸いです。
会 期: 平成17年8月20日(土)〜10月16日(日) 開館時間: 午前10時〜午後5時(入館は、午後4時30分まで) 入 館 料 : 一 般 400円 高校生以下 無料 団体割引 20名以上の団体 50円割引(1週間前までに予約をした場合) 連携割引 連携館の入場券所持者 50円割引 ※連携館:葉山しおさい博物館(当日券のみ)、 神奈川県立近代美術館葉山館(一般券及び学生券) 開館記念入館優待日: 10月15日(土)は当館開館記念日につき、どなたでも50円割引(350円)となります。併せて、後日用の無料招待券をお一人様につき1枚差し上げます。 呈茶のご案内: 蓬春・春子夫妻が愉しんだ茶道具をご鑑賞いただいた後は、非公開の和室「桔梗の間」でお菓子とお抹茶をお楽しみ下さい。 ・期日 9月17日(土)、18日(日)、19日(月・敬老の日) ・時間 12:00〜16:30 ・料金 1服300円(お菓子付・受付で茶券をお求め下さい。) ・協力 葉山町茶道連盟 その他: 9月20日に、一部展示替えがあります。 後 援: 葉山町教育委員会